第120回定期 ピアノソリスト 尾城杏奈 インタビュー

第120回定期演奏会で、ラヴェル:ピアノ協奏曲ト長調のソロを務める尾城杏奈(Pf)にインタビューしました。

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鎌倉芸術館とともに育ってきた

Q:地元出身で世界に羽ばたく音楽家として鎌倉交響楽団へのご来演となります。尾城さんと鎌倉との関わり、について教えてください。

A:生まれてすぐに大船に住んで25年経ちますので、この(鎌倉芸術館界隈)あたりがほんとうに地元、という感じです。
小学校低学年からついたピアノの先生のレッスンをうけるため、毎週大船から長谷まで通っていました。中学校は北鎌倉女子学園に通いました。
通っていた横浜市の小学校の音楽会が毎年鎌倉芸術館大ホールで開催されていましたし、いまも毎年日比谷先生の発表会で小ホールに来ていますので、私は鎌倉芸術館とともに音楽家として育ってきた、ともいえるでしょう。

 

Q:フランスへの留学を予定されているとのことですが、今度はご自身のフランスへの関わり、フランス音楽への思い入れについてお話しいただけますか?

きっかけは「のだめ」
フランス音楽の世界観を深めるために渡仏

A:フランスに憧れるきっかけとなったのは、小学生のときにみた「のだめカンタービレ」です。ドラマだけでなく「のだめ」の原作漫画本を集めて読み、映画も観て、主人公の「のだめ(野田恵)」がフランスに留学して奮闘している様子や、ラヴェルのコンチェルトを演奏している場面に強い印象を受け、当時から私もフランスに行きたいと思いました。フランスについていろいろ学ぶうちに、フランスの音楽だけではなく、美術や建築、街並みにも魅力を感じ、実際にそれらに触れ、そこで暮らしたいとの思いを強くしました。
初めて演奏者としてフランス音楽を手掛けたのは中学生のときで、ドビュッシーだったのですが、曲からどんどん景色や色が見えてきて、イマジネーションが沸いてくるのを感じました。
ドビュッシーの色彩感が溢れる世界観をもっと深く学ぶため、本場に留学したい、という願いをずっと温めており、ようやく叶おうとしています。(年内に渡仏留学の予定)
憧れのパリに留学できことになったので、様々なことに貪欲に挑戦し、研鑽を積んでまいりたいと思います。

 

Q:今回は鎌響とラヴェルのピアノ協奏曲を協演いただくわけですが、この曲の特長、ソリスト視点で難しさ、聞き手にとっての聴きどころなどを教えてください。

A:この曲は最初の鞭を打つ音から始まり、ユーモア溢れる1楽章がラヴェルらしいです。ピアノの旋律と、豪華なオーケストレーションが混ざり合い、変化に富んだ曲です。
2楽章ではオーケストラの管楽器とピアノが絡むところが際立って美しく、ラヴェルの曲の中でも特に魅力があふれていると思います。
ソロもオケも全編色彩感が満載ですが、特に3楽章ではオケとソロが掛け合いをすることでどんどん高揚感が迫ってくるところが好きですね。

ソロとオケが絡むことで色彩感が増幅していく

Q:今日で鎌響との合わせ練習は2回めとなりましたが、鎌響への印象を教えてください。

A.この曲はソロだけでなくオーケストラも技巧的にも難しく、アンサンブルも大変だと思うのですが、1楽章でソロと管楽器が絡むところなどもみなさんきっちりハマっていてとても弾きやすいです。
また、鎌響の皆さんはとても音楽的にこの曲にアプローチされており、弦楽器のユニゾンのところの音の厚み、迫力もすごいですね。私も皆さんの演奏にとても刺激を受け、豊かな音色で弾けるようにしようと、10月末の本番に向けて練習に励んでいます。
本番まで、残りのリハーサルの回数は少ないですが、さらにレベルアップできるよう頑張りますので、よろしくお願いいたします!

ラヴェルのソロ合わせをする尾城杏奈と鎌倉交響楽団