116回定期演奏会(10/31) 出演者へのインタビュー

2020年10月31日(土)に開催予定の第116回定期演奏会に指揮者として来演する和田 一樹氏、ヴァイオリン独奏で来演する森田 昌弘氏に今回演奏会に向けてインタビューを行いました。(2020年9月27日 鎌倉芸術館小ホールでの練習後に実施)

第116回定期演奏会

第116回定期演奏会 指揮 和田 一樹のプロフィール
第116回定期演奏会 ヴァイオリン独奏 森田 昌弘のプロフィール

(質問)-和田先生には今回、鎌倉交響楽団へ、初来演いただくことになりました。
指揮者としてプロ、アマ含め多くのオーケストラを指揮されて来たご経験も踏まえ、鎌倉交響楽団の印象、特徴をお聞かせください。

和田 一樹
インタビューで語る和田 一樹

(和田)- 鎌響とは五味さん(当団コンサートマスター)と共通の知り合いが多く、伝統もあり本格的な活動をしているオーケストラとして良い印象を持っていました。
初練習のときですが、(感染予防対策で)ホールで反響板を入れずに練習したためか音が遅れて聞こえてしまい、「これが普通なのか?」と少し混乱しました。反響板なしのホールなど、今まで経験したことがない環境ですから、まだ色々手探りで練習を進めている部分もあり、鎌響の初印象をこれまでだけの印象で評価するにはまだ少々答えづらいところがありますね。
例えばオベロン(序曲 116回定期プログラム)は皆さんとてもよく弾いていますが、反響板のない大ホールで練習するときは、周りの音をよく聞いて勇気をもって音を出していくしかない、という感じです。
一方、先日の弦セクションの練習はリハーサル室での練習でしたが、通常の演奏スペースではオーケストラとして合わせる力が素晴らしいなと感じてきたところです。
今日の練習では森田先生(ヴァイオリンソロ)にも練習に参加して頂きまして、森田先生は普段から 鎌響さんの指導をされているということで、森田先生の音と指導で 鎌響さんの音も変わっていく様に感動を覚えました。是非、頑張っていきたいと思っています。

 

森田 昌弘
オーケストラにアドバイスする森田

(質問)-森田先生には、これまでも弦楽器セクションの指導者としてたびたび練習をみていただいています。トレーナーとして、またソリストとして、鎌響の特長や今日の練習での感想を教えていただけますか。

(森田)-鎌響さんは選曲がいつも私が指導者として「教えやすい」プログラムとなっていていいですね。
結構メジャーな近代ロマン派が多いので、私の日常(N響ヴァイオリン奏者の活動)をそのままお伝えできるプログラムだと思います。
弦トレーナー目線では、演奏するフレーズの明らかなニュアンスの違いとか、弓の一発音出すときとか、私たちの「通常」というものを、色々とお伝えできるのかな、と思っています。
ソリストとしては、今日も、次回のホール練習も反響板なしで行うので、お互い何やっているのだろうと探っているのですが、時間差もありつつソロとオーケストラで生でのやり取りができるのと、視覚的な先生のタクトを元に、自分ができる限りのことは行っていきたいと思っています。本番に一番いい方向に皆で行ければと思っています。

 

演奏について打ち合わせる和田と森田
リハーサルで打ち合わせる和田と森田

(質問)-今回、森田先生にはソリストとして、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を協演いただくことになりました。超有名曲、そしてソロとしては難曲としても知られていますが、ヴァイオリン奏者からみたこの曲の価値、ご自身のこの曲への思い出なども含め、聴きどころを教えて下さい。

(森田)-(N響ヴァイオリン奏者として)年に1回以上は必ず伴奏する曲ですね。先月別のソリストとやって、今月また別の方ということもあります。普段は皆さんと同じオケ奏者ですから1000回のうち999回は伴奏として演奏しているわけですが、今回は逆でソリストになりますね。
オケ、ソロ両方の経験を踏まえて、室内楽的なアンサンブルとして、ソリストの間奏部分や、オケからソロが浮き上がる部分、伴奏オケがソリストと絡む部分など、うまく表現できれば良いなと思っています。
この曲は子供の頃からあこがれの曲で、時折有名なメロディをなぞって弾いたりしていましたが、小さいときは技術とかがないので先生が弾かせてくれなかったですね。初めて本格的に取り組んだのは17歳のときで、音楽大学に入るための試験で弾くことになりました。演奏会で初めて弾いたのは32歳のときでした。今回がソリストとしては3回目です。
1楽章がとにかく大変で、特にカデンツァ明けが大変で心臓破り的なところが多いです。
難曲ですが、大好きな曲でもあります。やはりここまで(曲が歴史に)残る分には理由があると思います。節が良いし、これだけ色々な人に演奏されてきたというのも意味があると思います。あと、チャイコフスキーのコンチェルトは一曲しかないですしね。

 

(質問)和田先生からも今回のチャイコフスキーについて何か一言お願いします。

(和田)-コンチェルトではタクトを見るのは一つ余分なことであり、オーケストラが森田先生の音色を「聞いて」直接反応してほしいと思います。ソロはこれくらいで行くんだな、先生が今ブレス作ってるよね、というところ、森田先生の音を聞きながら感じ取って演奏してほしいと思います。
ソロを演奏しながらオーケストラ奏者視点のアドバイスもしていただける森田先生がいて、最高な練習状況ですね。
本番でもお互いを聞き合って三位一体になって演奏ができればと思います。

 

(質問)-今回メインプログラムでは、カリンニコフの交響曲第一番という、超有名曲ではない、「隠れた名曲」を演奏します。和田先生からみたこの曲の魅力、また、鎌倉交響楽団で、この曲をどんな風に聞かせたいか、目指すところをお聞かせください。

(和田)-カリンニコフの音楽は詰め込みすぎで展開部も長いのですが、それは彼が表現したいことはたくさんあったのに短命(35歳で逝去)だった故かもしれません。
曲の中でも、ここはバッハ系、シュトラウス系、ベートーベン系とか、様々な大作曲家の語法に習おうとしているところが随所にうかがえます。
そんな彼のたくさんの思いや、短い中に凝縮された人生を反映した演奏をおとどけしたいと思っています。

 

鎌響練習を指揮する和田
鎌響練習で指揮する和田

(質問)-コロナ禍で、中止となる演奏会も多い中、各オーケストラは編成や配置の配慮など、いろいろな変更、工夫をしています。鎌響も編成を少し落とし、奏者間のディスタンスを確保する予定です。
両先生から、生の演奏会に久しぶりにご来場されるお客様に、こんなときでも、あるいはこんなときならでは、で楽しめるオーケストラコンサートの魅力を伝えるメッセージをお願いします。

(森田)-ご来場されるお客様は、最近のソーシャルディスタンスで隣と接触しないので、幅広く密閉感なくゆったり演奏を聴けるメリットがありますね。アルコール消毒等でコロナ対策も館内でも徹底しているのと、ブラボーとか大きな声出しは無いかもしれないですが、出来うる限りの配慮がされた環境だと思いますので、それを評価ご判断いただいて、安心してお越しいただければと思います。

(和田)-今回、コロナ渦で練習開始時から奏者間も距離を保たなければなりませんでしたが、それがオーケストラのレベルアップのためにとても良い機会になったかもしれません。オベロンは基本的なテンポの中でお互いよく聴きあってビートを感じることを目指しています。カリンニコフでも同様のアプローチをしていますね。チャイコフスキーは森田先生と一緒に協奏する。
この時期だからこそこのプログラムにしたの?と言えるくらい、鍛えられるプログラムであり、良い選曲だと思いました。(コロナの前から決めていた選曲でありましたがね。)

 

(質問)本番まであと1か月強ですが、鎌響も頑張って取り組みたいと思っております!最後に鎌響とお客様に一言お願いします。

(和田)ーこのように(奏者同士の間隔が)離れた環境の中での練習ではありますが、鎌響は勇気をもって、かつ配慮対策を行ったうえで早めに練習に取り組めたのが素晴らしいと思います。是非花咲かせ、お客様に感動をお届けしたいと思います。本番までどうぞよろしくお願いします!